循環器専門外来|川崎市中原区の動物病院なら、高野動物病院

診療時間
9:00~13:00
17:00~20:00

▲:12:00まで
木曜に重ならない祝日は通常通り診察します
休診日:木曜

〒211-0041
神奈川県川崎市中原区下小田中5-4-1

tel. 044-752-8199
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循環器専門外来について

近年、小動物領域においても高齢化が進むとともに様々な心臓疾患が認められております。
当院では2016年より、循環器の専門外来を開始いたしました。循環器専門外来では、循環器に特化した検査を実施し、最新の知見に基づく適切な治療をご提案いたします。
また、さらに高度な獣医療が必要な場合には二次診療施設へのご紹介をご提案することもできます。多くの方の助けになれるような、一次診療施設だからこそできる専門外来を目指しています。是非ご相談ください。

循環器外来担当医
院長 新井田 修輔

■循環器外来の流れ

専門外来は要予約となります。詳しくはお問合わせください。
  1. 1ワンちゃん、ネコちゃんの心臓にご不安はありませんか?

    • 最近咳が多い、疲れやすくなったなどの症状がある
    • 検診時に心雑音を指摘されたことがある
    • その他、心臓病の心配事がある など
  2. 2まずは詳しくお話をうかがいます

    症状がある場合、どういった症状が認められるか、どんなときに認められるか、ワンちゃんネコちゃんの親や兄弟の病気があったかなど、様々なことを伺い、病気の有無を判別していきます。

  3. 3必要に応じて各検査を実施します。

    • 身体検査

      聴診、視診、触診を中心とした身体検査により、全身状態を把握します。
      各種検査に先駆けて慎重に実施することにより、病気の絞り込みをするとともに、緊急性の有無などを評価します。

    • 血圧検査

      動物の血圧測定は、四肢や尻尾などを用いて行います。

    • レントゲン検査

      心陰影の異常、肺野の異常などを検査します。
      心臓が大きくなっていないか(心拡大の有無)、肺が白っぽくなっていないか(肺水腫などの有無)を診断します。

    • 心臓エコー検査

      心臓の中の構造的な異常、血流の異常などを診断します。
      当院では、心臓エコー検査は心臓専用の超音波検査機器(VividS60;GE Healthcare)を用いて実施します。ワンちゃんで一般的な僧帽弁閉鎖不全症、ネコちゃんでよくみられる肥大型心筋症などはこの検査で確定診断に近づきます。

    • 心電図検査

      不整脈、心臓の負荷所見などを診断します。
      診察室での心電図波形をモニターすることで不整脈などを検出するほか、6誘導系心電図にて詳細な検査できます。また、ホルター心電図(24時間装着型の心電図)を用いて、日常的な不整脈の診断をすることもできます。

    • 血液検査

      心臓の治療を実施していくために必要なその他の臓器の状態を診断していきます。また、外注検査にて心臓バイオマーカーを測定することもできます。

  4. 4検査結果をご説明し、治療方針をご説明します

    ご説明は十分な時間をとって詳しくご説明できるよう努めています。心臓の病気の場合には、診断がついたあともずっと付き合っていく病気であることが多く、飼い主様との二人三脚での治療が必要になってくるためです。
    また、心臓外科やペースメーカなど、より高度な治療が必要な場合には、二次診療施設をご紹介させていただきます。

  5. 5必要に応じて、定期的な検診を実施します

    最初の検査で治療の必要はないと判断できたとしても、時間の経過とともに悪化してくることもあります。また、治療を開始した場合には、治療の効果が十分に得られているか、不足がないかを確認する必要があります。従って、循環器専門外来では定期的な検診をおすすめしております。

代表的な犬・猫の心臓疾患

僧帽弁閉鎖不全症

どんな病気?

中齢期以降の小型犬によく認められます。心臓の中の心室という部屋が収縮して血液を送り出すときに、僧帽弁という逆止弁がきちんと閉じなくなることで逆流してしまう病気です。逆流の量が多くなると、心臓が大きくなったり、さらに悪くなると肺に水が溜まって息が苦しくなったり、咳をしたりします。

症状

息苦しい、咳をする、疲れやすくなった(運動不耐性)などの症状が認められますが、初期は無症状のことも多いです。

診断

多くの場合、身体検査で心雑音が聴こえることでこの病気が強く疑われ、各検査を実施します。主にレントゲン検査と、心臓超音波検査で診断していきます。

治療

検査によって重症度がどのくらいかを評価し(ステージ分類)、必要があればお薬による治療(内科的治療)を開始します。お薬で治る病気ではないので、肺に水が溜まって苦しくなったりしないよ うにお薬を調整して付き合っていく病気です。また、場合によっては手術による治療(外科的治療)を実施する心臓外科の専門病院へとご紹介いたします。

心筋症

どんな病気?

心臓の筋肉が変性してしまう病気を心筋症といい、猫で肥大型心筋症がよく認められます。肥大型心筋症は、心臓の筋肉が厚く肥大してしまう病気で、心臓の中の空間が狭くなって血液の流れが悪くなり、肺や胸に水が溜まると息が苦しくなることがあります(うっ血性心不全)。また、拡大した左心房の中で血の塊(血栓)ができ、それが身体の血管につまることで症状を出すこともあります(大動脈血栓塞栓症)。血栓がつまる場所はさまざまですが、後ろ足であることが多く、急に後ろ足が動かなくなった場合などに、この心臓の病気が原因であることがあります。

症状

強い症状が出るまで無症状であることが多く、また、心雑音がないことも多いので、重症化する前に診断することが難しい疾患のひとつです。

診断

身体検査で異常がある場合や、または家族猫に同じ病気があったなど遺伝的な背景がある場合に検査を実施していきます。主にレントゲン検査と、心臓超音波検査で診断し、血圧測定、血液検査などで他の病気を除外して診断します。

治療

病気の進行ぐあいによっては、お薬による治療(内科的治療)を開始します。ただし、お薬で治る病気ではないので、症状(うっ血性心不全、大動脈血栓塞栓症など)を予防していく治療が中心になります。
似たような経過をとる病気である拘束型心筋症も、猫で比較的よく認められます。

不整脈

心臓の規則的な動きが、いろいろな理由で障害されると、不整脈が出ることがあります。元気がなくなったり、突然倒れたり(失神)することがあります。ヒトでは動悸がするなどの自覚症状がありますが、ワンちゃんネコちゃんではわかりにくいことが多いです。診断は心電図検査で行いますが、不整脈による失神などの症状が疑われる場合でも、診察室では正常な脈だったりすることも多く、 診察室では診断できないこともあります。そういったケースでは、装着型の心電図(ホルター心電図)を身体に貼り付けた状態でおうちに連れて帰っていただき、心電図を24時間記録することもできます。
どういった不整脈が出ているか診断できたら、原因となっている疾患を治療したり、不整脈そのものを抗不整脈薬で治療したりします。場合によってはペースメーカを入れた方がよいケースもあり ますので、必要に応じて専門病院をご紹介いたします。

心臓腫瘍

高齢になってくると、身体のいろいろなところに腫瘍ができてくることがありますが、心臓も同じように腫瘍ができることがあります。検査によって腫瘍が見つかった場合には、できている場所や状況に応じて、内科的治療(抗がん剤など)、外科的治療(手術など)を検討していきます。また、身体のほかの部分に転移などがないか探っていくことも必要になります。

心タンポナーデ

心臓の周り(心筋と心外膜の間)に水が溜まってしまい、心臓が拡がりにくくなってしまう(拡張障害)病気です。原因としては、腫瘍からの出血によるもの、うっ血によるもの、特発性などが考えられます。症状としては急に元気がなくなってしまったり、歯茎の色が白くなってしまっていること(血圧低下)などが多く、緊急性の高い病気です。この病気が診断された場合には、心臓の外側の膜(心外膜)に針を刺し、液体を抜いてあげる処置が必要になります(心膜穿刺術)。また、繰り返す場合には、心外膜を取り除いてしまう手術が必要になることもあります(心膜切除術)。

先天性心血管奇形

生まれつき心臓に形態的な異常がある病気です。産まれる前に重要な役割を果たす血管である動脈管が生後も閉じずに残ってしまう動脈管開存症、心臓の壁に穴が開いた状態で生まれてくる心房中隔欠損症や心室中隔欠損症、大動脈や肺動脈の弁やその周囲が狭い状態で生まれてくる大動脈弁狭窄症や肺動脈弁狭窄症などがあります。病気の種類や程度によって治療法はさまざまですが、外科的な手術によって根治する可能性もあります。